ロイヤルノート|ろくでもない知識をきみに。

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先輩から教わった、不当な奴隷労働に立ち向かう勇気

 

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人生を変えてくれたふたりの先輩がいます。
彼らは僕の月と太陽でした。

今回はそのうちのひとり、月の先輩のお話です。 
そこらへんの常識で考えると、ぶっとんでいたし変わった人ではありましたけど、僕にとってはあらゆる面で尊敬できる、変わり者な先輩でした。

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社会人なんてバイトさ!の長髪音楽家

出会いはニコニコ動画の運営でした。
ドワンゴ系列の会社にコーダーとして入社したのがキッカケ。
その時、最初の上司になってくれたのがその憧れの先輩1人目のかた。

ここでは月さんと表します。
すらっとしていて白い肌。
全身いつも真っ黒の服装で、女性くらいに長い髪の毛。
まさにビジュアル系バンドの人といった外見です。

あ、でももちろんハードロック系も弾けるは弾けるんですが、本人が本来好きなのは芸能山城組  が奏でるような民族音楽なんだそう。

そこに加えて、小室哲哉のようにシンセサイザーをめっちゃ操るという、エレキサウンド+民族音楽なお兄さんです。

RONAクン、決して僕なんかをお手本にしちゃいけないよ

月さんは、職場で最初に顔を合わせた時に、とても優しい声でそう言ったんです。

職場の上司がですよ。
「僕を絶対手本なんかにしちゃいけない」とさわやかに、さも当然のごとく言い放ったのです。

それまでに見てきただいたいの上司の印象は
「何もえらくないのに、やたら偉そうにしてくる」というもの。
見栄と地位に固められたプライドを盾にしているかのような状態で、特になにかを残したわけでもないのに、ただ長く勤めて順序的に役職が上がっただけみたいな人がちらっほら居ました。

最近ですよね。
ようやく「長く勤めるだけじゃ役職は上がらない」状態になってきたの。
部長クラスの世代が溢れかえり、経済は不況。
この中でただイスに座っているだけで徐々に年収と役職が確実に上がっていくのなんて公務員くらいのものです。

月さんがどうしてこのような発言をしたのか、一緒にランチをしているときにわかりました。

僕はね、1秒たりとも仕事なんてしたくないと思っているんだヨ

入ってきたばかりの新人に、これから共に仕事をしていこうというタイミングで、最初のランチでこれを言ったんです。

働きたくないと思っている。

これを笑顔で、かつ穏やかに、堂々と言い放った先輩、
明らかに今まで出会ってきた人たちとは違う空気が全面に出てました。

このセリフだけ見るとただのダメ男みたいになっていますが笑
もちろん、お仕事はとてつもなくちゃんとできるかたでした。とても効率良くて。

東京の郊外にある月さんの生家では、猫を多いときで最大20匹も飼っていたそう。
猫がいる生活が当たり前で、しかも5人ほどいる兄弟の末っ子。
確実に自由な発想と精神が生まれる場所であります。

そうしてスクスクと育った月さんは、音楽を愛するようになりました。
彼はランチで言いました。

僕はね、音楽をやっているときだけが生きている時なんだ。それ以外のすべては全くやりたいことじゃないんだ。仕事の時間は1秒でも短くしたいと思っている。

と。
物腰は柔らかいですけど言ってることは極めて芯の通った、力強い人だなぁと思いました。

よしRONAクン、じゃああとは頼んだよ

うちの職場は当時、完全裁量労働制が成り立つ現場でした。
なので、自分たちがちゃんと仕事をまっとうできると責任が持てる範疇で、何時に来てもいいし何時に帰ってもいいのでした。

2人1組になって、とあるページのデザインやコーディング、更新などをしてました。
ま、簡単に言ってふたりセットでまかされてる仕事がありました。

そんな状態で仕事をしていた、ある日。

よし、RONAクン。あとはまかせられそうだね。僕はもう今日は上がるよ。まわりにはよろしく言っておいてくれたまえ

そう言って彼は、出勤から1時間後には帰っていきました

15時くらいにぬるっと現れ、17時くらいにあがっていきました。
これを職権濫用だと思いますか。
後輩に仕事を押し付けた乱暴な上司だと思いますか。

当の後輩だった私は全くそう思いませんでした。
その日の仕事の状況が、本当に彼の言う通り、僕でもうなんとかなるものだったからです。

自分の権利を主張できないドМ労働

むしろ彼こそが本当の正義だったのだなぁと考えます。
そもそも日本人は、裁量労働制という名の奴隷労働に囚われすぎです
ちゃんと雇用契約の範囲内で、与えられた責務を全うし、それでいて素早く仕事を終えることができ(今回はチームプレイでしたが)あとは大事な大事な音楽活動のために帰っていったのです。
彼いわく「本当の生きている時間」を大切にして、仕事を切り上げたのです。

会社の顔色、上司と同僚の顔色、社外の取引先の顔色を伺って、本来そうしたいはずの時間に帰れない。本当は帰れる状態なんだけど、なんとなく帰れない。
こんな形が正常だなんて言うのはおかしい。
労働者は月さんのように堂々たる働き方をして、自分の権利を守ってほしいと思います。
月40時間分の残業を「みなし残業だから」と言われてとりあえず納得してタダ働きして、疲れて家に帰ってやりたいこともやれなくて、それでもOKなんて言ってるのはドМな日本人くらいです。

月さんのような先輩がパートナーだったからこそ、僕も堂々とお願いができました。

月さん!今日、どうしても用事(←デート)があるんですけど……。

よし!ここは僕にまかせてくれたまえ。さっさと上がっていっておいで。状況はまた明日共有するから。

彼こそヒーローでした。

社長は絶対!部下はお笑い芸人にもなった

実はまったく別の職場にいたときは、これと真逆の、まったく意味をなさないバカみたいな「体育会系」の理念がまかり通ってる現場がありました。

ちなみにそれは某アダルト系WEBサイトを運営している会社だったのですけれど。

とある暴君社長のもとで働いたときの経験ですが、社長のしたにつく歳は20代~40代まで幅広い役職たちがそろいもそろって、社長のご機嫌をうかがわなければいけないヘンな空間でした。
社長が無茶ぶりすると仕事中でも、お笑い芸人ばりのネタで回りを笑わせなければいけなかった
現場を面白いものにしようっていうその試み自体は賛成ですが、その強制力自体が問題でした。

1分たりとも遅れるな、の矛盾

そんな社長より1分でも遅れようものなら大目玉だし、役職に対して一般の社員たちはやはり遅刻が許されなかった。遅刻を許す許さないの話じゃなくて、空気が険悪になるのです。
それがまずい。
遅刻なんてどうしたって発生しますよ、毎日毎日通勤してるんだから。
それをほんの1分遅刻したから、どれだけ仕事に影響があると?
実際に多大な影響あるなら問題です。そういう日はちゃんと時間前に行ってください。
でも、10社渡り歩いて感じること。
始業開始の1分に、ほぼ価値はないです。
始業開始時刻のでだし1分なんてほとんど成果なんて出ないです。
出る体制だったら、そのほうが問題。
例えばコールセンターだって9時にコールセンターひらくとして9時ジャストを出勤時間だと指定する寝ぼけた会社はそうそうない。
多少なりとも準備を整えてから「本当の仕事」が始まるわけで。

パワハラも、過度な時間管理もどうかと思います。
まして、時間外でさんざ働かせてるんだから。

揺れる月さんのその後

そんな個性的な月さんですから、ウマが合う人はめっちゃ合うんですが、一部どうしても合わない人がでてくるんです。
そしてそんなウマの合わない人と同じ部署に異動したときなんかは、因縁つけられて職場でケンカして頭突きくらったらしいですけど……。
もう一度書いておきますが、個性はあるものの、月さんは声を荒げることが1度たりともなかったような、とても穏やかで優しい人です。
オマケにちゃんと話もわかる人です。
その月さんを相手取って話し合いで解決ができず、あまつさえ頭突きしてんだから、先方の神経も見事に疑えます。

月さんも、僕と時期は違えどニコニコ動画を辞めていきました。

その後、彼は音楽一本で暮らしていこうとしたり、それだとやっぱりキツイから食いつなぐためにバイトで生計を立てたり、もうちょっと安定した給与が欲しいとしてまた就職したりといささか右往左往する時期が1年半ほど。
ちょうど、僕が個人事業をやっているあいだでの1年半でした。

月先輩に祝杯を

そんな月先輩も、ついに独立開業しました。
むしろ、こちらは会社設立してない(法人化してない)のに対し月先輩は会社を設立です。
しっかりと株式会社に仕上げてきました。

サービス内容は、音楽中心とはいきませんでしたがずっと続けてきた業界、ウェブ関連のもの。

昨晩はちょうどそんな彼と、そのお祝いにかけつけた今日は語れない《太陽の先輩》が飲むという話でしたが駆けつけられず、参加できませんでした。
次こそは!と願いをこめまして。 

お酒は飲み交わせなかったけど、心の中でそっと祝杯です。 

今から2年前。
僕みたいなでくの坊でも、いっちょまえにフリーランスになれました。
嫌いなものにノーと言い、好きなものを右手に、できるものを左手に。
裸一貫、貯金ゼロで開業しましたけどなんとか生き残ってこれました。
先輩は、僕と違ってずっと上のフィールドで活躍できることと思います。

みなさんも、自分自身が本当に思っていること、決して捻じ曲げられたくないご自身の権利のために、どうか力強く立ち向かってほしいなと願います。