サラリーマンの、仕事を辞めたい背中を鼓舞
書きあじ | ★★☆☆☆ | ややかため |
漢字の使用 | ★★★☆☆ | ふつう |
読みやすさ | ★★★☆☆ | ふつう |
まさにいま現役のサラリーマンが、本屋さんで本書を見かける、もしくはアマゾンでウィンドウショッピングをしていてこの本に出逢ったら、「ほぼすべての会社はいらない」というニュアンスをうたったこの表題には、思いきり目をひかれることでしょう。
「俺はこのまま今の仕事をしていていいのだろうか…」
「私にこの仕事は向いてないんじゃないかな」
「自分はもっとやりたい仕事があるのに、転職がこわい」
だいたいこんな感じの、モヤモヤとした、いまの仕事に対する不安や不満はきっと多くのサラリーマンが経験したことがある、またはいまも抱えているものです。
多かれ少なかれ。
全編にわたって、いわゆる「ホリエモン節」といわれるズバズバっとした言い切り表現で展開されます。
この力強さは、気弱なひと、ひとの指示を受けて動きたい受動的なひとには気持ちよく心に刺さるものと推測できます。
第1章で日本の企業の現状を分析・解説して「なんか日本の企業で働くのってとても非効率だし矛盾だらけだし損じゃないか?」と読み手のネガティブな感情を助長します。
第2章は「今後、日本での仕事ってこうなっていくよね」とさらに一歩つっこんで、これはネガティブでもポジティブでもない、冷静な予測を立てます。
第3章では「これからの仕事はこうすればいいじゃん!」と新しいものの見かたを、著者自身の経験もふまえて提示します。
くわしくはぜひ本書を読んでみてほしいですが、キーとなるのは「仕事=遊び」ということ。
仕事=遊びは、わたしの考えかたにも合致するところが多分にあって、「うんうんそうだよね」と背中を押されるような心地に。
第4章は著者自身のオンラインサロンの宣伝。
第5章は短めのコラムをいくつかつなぎあわせたような感じで、メッセージはおおむね3つ。
取捨選択をしろ。
人気者になるマインド。
飼い犬になるな。
でした。
本書で書かれる飼い犬とはサラリーマンのことで、「いつ飼い主がいなくなるとも分からないのだから、もっと広い視野で、広い世界を見てほしい」としめくくります。
本書は「自分が正しい」と著者の主張を押し売りする本ではないですし、本の中でなにかを「正解」と決めつけるわけでもありません。
しかし堀江貴文さんが最終的に言いたいのはとどのつまり「何も考えないで、周りに流され、なされるがままにサラリーマンをしててほんとうにいいの?」ということだと思います。
これはわたし自身もサラリーマン時代に同様の葛藤をして、堀江貴文さんのような考えかたをして、考えたあげくに独立を選択した経緯があるため、彼のメッセージはとても理解のできる話でした。
まあでも、会社でムリをするのもよくないし、独立のためにムリをするのもよくない。
どちらを選択してもいいけど、とにかくムリはしたっていいことありません。
無茶のないやりかたで、自分らしく人生を選択していこう!
という、ほどよいバランスのメッセージということでわたしはとらえました。
本の情報
目次
第1章 日本の会社はおかしいと思わないか?
- 本当に「会社」は必要なのか?
- これから会社員の給料は上がっていかない
- 会社という割高な保険への加入
- 日本の社会は差別化を知らない
- 日本は「世界でもっとも成功した社会主義国」
- スペシャリストを求めつつ、ジェネラリストを育てる矛盾
- 古い体質から一歩も前に進まない
- 自分の仕事が減るのが怖い
- 社長にはバカか天才しかいない
- 日本からイノベーションが生まれない理由
- 日本の古い習慣を崩した、唯一の人物
- 雇った社員の違法行為は防げない
- 面倒くさい感情マネジメント
- マンパワーもロールモデルもいらない
第2章 仕事のない時代がやってくる
- 仕事がなくなるのではなく、仕事から解放される
- お金は時間を効率化させるためのツール
- 「最適化」で面倒な仕事を減らす
- 「捨てる力」はこだわりとプライドにある
- ファッションですら最適化できる
- 会議は会議室ではなくスマートフォン上で
- システムがあれば感情はいらない
- テレビの価値はブランディングとアンプリファイア
- テキストの力を侮ることはできない
- 「名刺交換」を面白い仕組みに作り替える
- 市場原理であらゆる無駄をなくしていく
- ググれない人々と、AIのマッチング
第3章 だから「遊び」を仕事にすればいい
- お金がなくても生きていける時代
- 10年後のビジネスを作る「遊びの達人」
- 仕事はエンターテインメントであるべき
- 注目されているエンターテインメント業界
- メジャーを目指すなら、マイナーなネットから
- 好きなことを武器にして、[マイナー&高収入]を目指せ
- グローバルマーケットを狙えばマイナーでも勝てる
- マイナーという安定したインフラを活用せよ
- 「面倒くさい」も理解できる
- 失敗は当たり前、失敗したらすぐ忘れる
- 毎日続けること、真似をすること
- 修行する時間があれば情報収集を
- テレビに負けない価値を自分で作り出せ
- とことんハマっていくと新しい展開が拓ける
第4章 会社ではない新しい組織のカタチ
- ホリエモンという”独裁者”
- オンラインサロン発足の秘密
- イノベーションを生み出すための仕組み
- ムーブメントには「2人目」が大事
- サロンの仕組みは「推進力」で成り立っている
- 大学院にも企業にもできない研究のカタチ
- 楽しみながら学ぶ「新時代の塾」
- サロンに民主主義はいらない
第5章 会社に属しているあなたへ
- ギブ・アンド・ギブ
- キングコング西野にみる、惹きつける力
- 相手ののどに小骨を突き刺せ
- ”人気者はノリが良い”の法則
- 他人に迷惑をかけるという求心力
- 人は「スキル」に惹きつけられる
- 相手の心を読む前に、自分をさらけ出せ
- イノベーションのジレンマと、本当の幸せの定義