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映画レビュー:アベンジャーズ・インフィニティ・ウォー【4/5点】

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4月27日金曜日、アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー公開初日の最初の回で鑑賞した。

「今作はかなり期待できる」と大々的に宣伝されてきて、アメリカのほうですでに観た人たちの興奮Twitterには「スカっとするシーンが10個以上あった」「予想を裏切られる」「1回目を観終わったら、すぐに2回目のためのチケットを買うべきだ」などなどかなり好意的なコメントが寄せられていたので、ワクワクして上映に臨んだ。

結論として、本作は見どころたっぷりの力作であることに違いはない

各ヒーローたちがそれぞれの武器や技術を使い、それぞれのあるべき立ち回りかたでバランス良く奮闘していたと思う。

バッドエンドのシナリオへようこそ

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ただ残念ながら、本作は見事なまでにバッドエンドだった。

アベンジャーズは全滅する。

というか正確には半滅する。

本作が前編・後編の前編であることは事前にわかっていたので、なんとなくイヤな予感はしていたものの、やはりこのイヤな予感を「裏切って」くれるものではなかった。

おなじみのヒーローたちが、過去作にないくらい大量に終結して、アベンジャーズサイドとして戦うことになるのだが、大ボス・サノス軍は次々とキーアイテムとなる「6つのストーン」を集めていく。

阻止できないアベンジャーズ。

ヒーローなのに阻止できないのである。

しかもそこの原因はパワーじゃない。心なのだ。

みんなの命を救う気概にかけるヒーローたち

それがまた、なんとも貧弱な精神によるところというか……世界中の命が(正確には全体の半数の命が)かかっているというのに、目の前の大切なひと(愛するひとや仲間など)を守りたいがためにベストな決定ができない

各ストーンがサノスの手に渡らないようにできうる場面が何回かあるのにもかかわらず、結局すべてのシーンで情にほだされ、最もしてはいけない選択肢である「サノスの手にストーンがわたる」というシナリオを上手に踏んでいくヒーローたち。

奉仕精神満載なヒーローのみなさんにこんなこというのもなんだけど、やっぱりそこはさあ、「世界を救うんだ!」的なことを大々的にいってるわけだから、大切なひとの命が惜しいのはわかるけどヒーローの選択肢的にはNGでしょう…!

作中に何度か『命の重さは平等だ』という旨の訓示みたいなのがでてきて、たったひとりの命すらも惜しんで大切にする精神が描かれているが、ある選択肢のどちらを選ぶかで1人が乗った天秤と70億人が乗った天秤どちらかにかたむくんだとしたら、そりゃ1人が乗ってる天秤を犠牲にして70億人守らないかい?

どちらの側に乗ってるひとも1人につき1gだとしたら…いわずもがな。

鑑賞したひとの大半が思うであろうこと

本作を観たひとたちが、わたしも含めきっと思っているであろうことをいくつか書いてみる。

  • ワンダ(スカーレット・ウィッチ)がさっさとヴィジョンの石をぶっこわしておけば、こうはならなかったのに…
  • ドクター・ストレンジがアイアンマンを守るために石なんて渡しちゃうから時間が巻き戻されて…
  • というかみんなが力を合わせてサノスからガントレットを外そうとしていて、もうすぐで外せるってなときにスターロードはなにやってるの?!

気になることはヒーローばかりじゃない。

  • サノスがソウルストーンを手にいれるため、涙を流してガモーラを殺していたけど…うーんサノスとガモーラの絆があまり描かれていないため感情移入がおいつかない。「サノス、あんたほんとに悲しいの?」と思わずにはいられない。
  • 敵じゃないけどロキ…きみ、そのか細いナイフでサノスやれると思ったの?ギリギリまでサノス側に従うフリしてついていって、いざってときに裏切るくらいのほうが戦術として似合っているよ…

そうはいっても、見ごたえは十分アリ

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ケチはつけられるものの、もちろん本作も見ていて興奮できる楽しいヒーローものに仕上がっていた。

観るべきか観ないべきかということでいえば間違いなく『映画館で観よう』だと思う。

  • 新装甲、新装備で多彩な戦いかたを見せるアイアンマン
  • アイアンマンからもらう新スーツで、アイアンマンの相棒かのような立ち振る舞いで活躍するスパイダーマン
  • 名前のとおり、その力(マイティ)を存分に見せつけるソー(武器制作のシーンで観られるマッチョなポージングはイケてた)
  • ヒゲヅラになってたしシンボルだった盾もないけど、とにかくなんだかんだいって雰囲気がかっこいい(適当)キャプテンアメリカ
  • ハルクがご機嫌そこねちゃって登場しない代わりに、ブルースがアイアンスーツをまとって奮闘する
  • ガーディアンズオブギャラクシーの面々と、ドクター・ストレンジ、アイアンマン、スパイダーマンたちの協力コンバット
  • ソーの新武器が完成間近に減速、ピンチのところへつぶらな瞳のグルートが自らの腕をさしだし、意外な形で完成させる
  • ブラックウィドウやオコエ…うん、強めの人間らしい戦いかたをしていたよ
  • ロケットとウィンターソルジャーのダブルガンナーの協力プレイがいい感じ

あれだけの人数をバランスよく活躍させるのは相当むずかしかっただろうと思う。

各キャラの味や立場的な重要度が整理されつつ、それに見合った戦局が組み立てられ、鮮やかな戦闘シーンとして繰り広げられるのは、ある種の芸術だなと。やはり映画は「鑑賞」するものなのだと改めて思うところ。

続編の展開を予想する

最終的にブラックパンサーやワンダ、ウィンターソルジャーなどなど、ヒーローたちまで滅せられ、完全なるバッドエンドで終わる本作「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」。

これじゃ続編なんて作れないんじゃないか?と思ったわたしが想像したものとしては『タイムパラレルもの』なんじゃないかということ。

タイムストーンがある世界観だから、当然時間の巻き戻しができちゃう。

壊滅したヒーロー軍では、6つのストーンを手にした今(続編のころ)のサノスには当然勝てるわけがない。

そこでなんとかして勝つ方法としては、全滅前への巻き戻し。

パターン1:今回のことはなかったことにして、もっかい(パラレルワールド)

全滅する展開はなかったことにして、時間軸をそもそも戻すパターン。
この場合タイムストーンは使わない。

インフィニティ・ウォーは、未来のパターンが140万通りだか1400万通りだかあるといったドクター・ストレンジが見た、ひとつの負けパターンのバッドエンド。

勝ちパターンになるにはどこかのキーポイントがあって、そこを失敗しない部分からやりなおすという既視感たっぷりの展開。

あそこでもしあいつがアレしてなかったら…などなど、いくつもある失敗のケースをドクター・ストレンジが修正して、極めて確率の低い勝利パターンへ導いていく。

今作インフィニティ・ウォーの途中のどこかの時点を分岐点として、そこからが次回作のスタートラインになるパターン。

パターン2:サノスに滅ぼされたのは事実。その後ストーンのパワーを使ってヒーロー復活からのリベンジ

時間軸はそのまま、インフィニティ・ウォーのその後へ。

生き残った約半数(たぶん)のヒーローがタッグを組んで「サノスに勝つにはストーンの力を奪うしかない」的な発想でケンカをふっかける。

どれくらい奪えるかは分からないとして、とりあえずタイムストーンだけは手にはいって、今作でヴィジョンがそうされたようにヒーローたちの復活(リバース?蘇生?)がおこなわれる

復活した全ヒーローが終結して、ストーンが足りなくて若干弱めなサノスをフルボッコにする。

パターン3:サノスに滅ぼされたのは事実。その後ストーンのパワーを使って滅びる前の時間軸へ戻ってやりなおす

時間軸はそのまま進むが、サノスからストーンを奪いとったところでヒーローの復活をするんじゃなくて、時間軸を戻してやり直すパターン

上記2パターンの融合。

パターン4:すべての石の力を得たガントレットが暴走して、時間軸は戻り、サノスすら敵じゃなくなってガントレットが最凶のラスボスとなる

ヒーローものにありがちな想像だが、自分の身に余るような強大な力を手にしてしまったものはその力に食いつぶされるのが常である。

そういった意味で、ガモーラの死を悲しんでいるような、ちょっと人情味のあるボスはボスではなく、真のラスボスは別で生まれるんじゃないかというパターン

結局ヒーローたちは復活してもらわないと困るので、タイムストーンが暴走するなりなんなりしてヒーローは終結する。

それはそうと、サノスすらあっさり倒されて、真の敵となったガントレット(を使う者?それともガントレットが本体で、そこに生えてくる意思をもった個体とか?)を倒して6つのストーンも無事手中に。

各ストーンを全宇宙で分担して6か所で保管するハッピーエンド。

すべてはドクター・ストレンジの想定の範囲内で進んでいる?

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アイアンマンの命とタイムストーンのどちらを取るかみたいなシーンでドクター・ストレンジはアイアンマンの命を取った。

そしてラストに消滅してしまうとき、唯一の勝ちパターンを見て知っているはずの彼が「これしかなかった」と言うのが印象的だった。

この行動から推察するパターンとしては、一度サノスがアベンジャーズに勝ち、すべてのストーンを使って全宇宙の半数を殺すこともあらかじめドクター・ストレンジが想定した未来で、そのステップを踏んでなおその先にこそ、ヒーローたちの勝利があると彼だけはわかっているのではないかということ。

とりあえず無駄死にってことはありえないはず

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いずれのパターンになっても、やはりヒーローたちは復活するんじゃないかというのが本音。

続編がこのような形で大どんでん返しをしてくれるのであれば、今作が暗く悲しいバッドエンドになったことにも納得がいくというもの。

マーベル・スタジオの社長であるケヴィン・ファイギも「単純な続きものではない」という含みを持ったいいかたをして表現した。

単純な続きものじゃないとしたら、なんだろう?

その答えが『ストーンの力による時間巻き戻し・または全滅前にもっかい展開やり直し(パラレルワールド的な)』にあるんじゃないかな…と予想した。

そして今回のバッドエンドがただ無意味にバッドエンドたりえることもないだろうし、負けてしまったヒーローたちという事実が払拭されずに、ただパラレルワールドでやり直すというのもちょっとヒーローものを愛する子供たちにかわいそうなんじゃないかと思うわけで。

よって、タイムストーンの力をつかって時間が巻き戻されるか、ヴィジョンみたいにヒーローたちの身体の崩壊だけが巻き戻されて、いずれにせよ全ヒーロー終結。

これが続編の形になるんじゃないかと思うのだ。

今作を観たみんなは、どんな感想を持ち、どんな予想をしただろう?

写真引用元:https://www.youtube.com/watch?v=ET87HGsLEOk