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57点のおじさんはダイエットを始めた

警備員が4年で1億8000万円の資産を築いたカラクリ

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図書館でこんな本を読みました。

警備員の山田さんが4年で1億8000万円の資産を築いたヒミツ

警備員の山田さんが4年で1億8000万円の資産を築いたヒミツ

 

そうしたらまあ──

壮大にツッコミどころがあったので、思わず筆を執った次第でございます。

なんともすごい本です。
これを読めばアナタも資産1億8000万!!
──となるかどうかは、その人次第だと思います。

というより、リスクという言葉について今一度考えさせてくれる本です。

ざっくりこうゆうストーリー

主人公(著者)・山田さんはクソ人間です。
冒頭でちゃんとご自身が証言しています。

結婚して子供も2人いるというのに、転職を繰り返して(←これ自体は否定しない)ギャンブルにキャバクラにと遊び歩いている男。

妻が早朝は新聞配達、昼は寿司屋でアルバイトと掛け持ちで忙しく働き、なんとか家計を支えている。

家を購入しており、そのローンで首がまわらない。
むしろお金に困っている状況なのにもかかわらず、妻の内職のお金をせびってまでギャンブル・キャバクラで遊んで食いつぶしてしまうという山田氏のクソっぷり。

一生借金を返すためだけに稼ぎ続ける人生なのか──!
と絶望する。

ひょんなことから不動産投資をしてみる
⇒ 成功(^^♪
お金に困る人生から、お金に余裕のある人生に!

これだけです。
つまり不動産投資を薦める内容です。

が!
さらっと流して進めるような事態ではありません。

この本のタイトルには「~の資産を築いたヒミツ」とありますが、その秘密は冒頭であっさりと公開されます。 
ここがまずすごい。

ヒミツ⇒妻が○○されて手に入れた○○ 

町を歩いてて二度見をすることってみなさんも経験おありかと思いますが、今回こちらの本を読んでいて、ヒミツが分かった瞬間に私思わず二度見してしまいました、紙面を。

  1. 奥さんが早朝の新聞配達をしているときにひき逃げされて2500万円の保険金が下りる。
  2. 「わーいこれでみんな窮屈じゃなく暮らせるね!」で散財
  3. 1年半で1500万使い倒す
  4. 気付けば残高がもう残り1000万円くらいになってる(;゚Д゚)
  5. あせる山田氏、知り合いの不動産屋の紹介でアパート買ってみる
  6. 成功

こんな感じのストーリーです。

自分が遊んでいる分まであくせく働かせていた妻に、顔面21センチもの傷ができて包帯ぐるぐる巻きになるような大けがをさせてしまい、そこで入ってきた保険金をとりあえず半分くらい無計画に使い倒して、ようやくヤバイということに気づいてついに資産運用に進んだということになります。

ヒミツってか……アパート買う大きな元手が不幸な事故で偶然発生しただけじゃん 

心の中でとりあえずつっこんでおきました。

1棟目:横浜の30坪6室のアパート

貯金残高1000万円ではアパートは買えないので4000万円を銀行から借ります。
これもまた、知人の不動産屋がうまくやってくれたようで、お金が借りられました。

ちなみにこの時点で、まだ自宅のローンはたっぷり残っています。

物件は土地が3000万円で建物が1650万円くらいのようです。

節税効果を狙って2棟目を建てる:千葉の10室のアパート

とりあえずアパート経営は10室以上持っていると「事業的規模」というものに該当して節税効果が高まると。
それを狙って2棟目を手に入れるわけですが、今回は買うのではなく建物ごと建ててしまいます。

ここまでで16室。
全て埋まると月々家賃収入が100万円になるそうです。

借金は入居者が返してくれる

ここからちょっといくつか、本書で気になった部分を引用してみましょう。 

多くの日本人に、投資という考えが欠落している

とまぁ、なるほど確かにまっとうな主張も書いているのですが、

(アパート経営は)入居者さえいれば、ローリスクで安定した利益が得られるすばらしい投資です。

とも仰っていたりして──

いや、その入居者が必ず部屋を埋めてくれるとは限らないところが大きなリスクなんだよ

と、思わずひざの上にいた猫に言ってしまいました。
そこにしか言う場所がなかったので……。

ローリスクで安定的にリターンを得られる、誰にでも始めやすい投資なのです。

誰にでも簡単に、銀行から〇千万もお金借りられるほどの頭金用意できないっすよ!?

アパート経営に関して言えば、借金は私が払っているという感覚ではなく、入居者に払っていただいているというイメージです。

イメージ力ですね。
結局は空き部屋が増えたら即沈没では?
払ってくださっている入居者がいなかったら……払い手がいなくなって不良債権ですな!

山田氏のモデル──資産1億8000万円とは?

本書に記載のある情報からです。

ローンは毎月住宅ローンとアパートローンで約70万円払っているとのこと。

部屋16室が全て埋まっているとしたら100万円の家賃収入なので30万円が利益ですね。

そこに警備員(本職)のお給料と奥さんのパート代が入りますから、アパートが円滑に運用されている限りは、マイナス終始にはならないでしょう。

しかし本のタイトル「資産1億8000万円」はどこから出てきたのでしょうか。

リタイア後の生活を楽しむためにハワイにコンドミニアムを買ったと書いてあります。

ざっと調べたところ、ハワイでコンドミニアムを購入する場合3,000万~1億円くらいらしい。

アパート2棟+ハワイのコンドミニアム=1億8000万円

これが恐らく、山田氏がタイトルで指す資産の内容でしょうか、ね。

でもこれ……

まだ半分以上、ローン残ってますよね……?

文章の中の情報より、銀行から借りている総額は1億円以上
山田氏が1棟目のアパート経営を始めたのが50歳の時。そこから短くみてもざっと30年ローンくらいは組んでいるでしょうから──

私には、できません。
こんなにも大胆で思い切った、年金暮らしの時にまでローンを残し払い続けるライフプランは……。

そろそろ飽きて来ましたかな?もう6割読み終えています。

そもそも、2500万入ったあとお金使いすぎじゃない?

保険金の2500万円が銀行口座に振り込まれて、それからたったの1年半で半分以上を使い倒してしまうって、ちょっと普通の金銭感覚ではないように思います。

しかもそれまでお金に苦労してきた人ならなおさら、お金があることのありがたみがわかっていいかげん散財には歯止めをかけそうなものです。
(お金がないことへの恐怖感から)

山田氏と、奥さんはその間も共働きで収入を家に入れています。
それでも使い切ってます。
1年半の18ヵ月で減った貯金残高が1500万円。
月々にして83.3万円のマイナス収支

この額、完全に豪遊してますよね。

山田氏が他本から引用してきた「ラットレースにいつまでも参加してるのは良くない」という主張はわかります。
これは金持ち父さんの本に載っていたことで、ラットレースはお金のために一生働き続ける人生という意味です。

確かにそうですけどね。
会社の利益のために働き続けるのも、税金払うために働き続けるのも、ローン返済のために働き続けるのも、クレジットカードの支払いのために働き続けるのも、そりゃあイヤになります。そこはOK。

ただそうじゃなくって、大金を手に入れた経緯がけっこう笑えない理由だったという点と、しかもそれをたった1年半で半分以上使いこんでしまうというそっちのほうに度肝を抜かれました。 

良い物件、良いパートナーを持つことの重要性は的を射てる

本書の1章・2章でアパートを手に入れた経緯は全て説明されて、残りの3章・4章はどんなアパートを持ったら良いか、どんなマインドでアパート経営を行ったら良いかという、より具体的な内容にシフトしていきます。
この先はちょっとおもしろい。

借りる側の心理を読んで、「こんなに良い設備でこの家賃!?」というちょうどいい物件に仕上げて空室を避けているというのはいい作戦じゃないでしょうか。

  • 改築しやすい
  • メンテナンスコストが低い

この2点から著者は木造新築アパートをおすすめしています

あとは冒頭から最後まで念押しされているのは「最高のパートナーを見つけよう」ということでした。
優秀な不動産のプロをパートナーにして経営することが不可欠であると熱弁されています。素人だけで無理するなってことですね。これも確かにその通り。 

物件の老朽化についても、アパートが古くなるにつれて空室が出てくることや家賃が安くなるなどの可能性も視野にいれて未来の収入を試算しているようです。
それを山田氏は著書で「ミニマム経営」と言っています。なるほど。

いや、でも、目減りする家賃収入のパーセンテージを計算するよりも「想定以上に埋まらない状況」とか「もっと予期できない想定外の事件(災害とか)」とか、そうゆうほうも意識してリスク分散したり経営判断したりしたほうが良いのではないでしょうか……。 
近くに非常に似た条件なのに安くて新しいアパートができちゃったりとか……不測の事態は計算しきれない大リスクのような気がします…。

まとめ

著者の主張をシンプルにまとめるとこうゆうことかなと。

  1. 木造新築のアパート経営は良質な資産運用!
  2. 不慮の事故から頭金が手に入って、銀行からお金借りられた!
  3. みんなも(運用のために)銀行から借金しよう!
  4. (借金の返済について)短期的なプランじゃなくて長期的に見て計画しよう!

なるほど……。

しかしどうしても腑に落ちないことが頭に残り、もやもやとしてしまいます。 

ほんとに…ほんとにその試算で無事に借金をペイできるのか…??
借金があるうちは、資産と表現してごまかしても結局マイナスなんだぜ……。
しかもその所有物である物件たちは、日に日に資産価値が下がっていってるんだぜ……。

勇気をもって1億円以上も銀行から借金をしてアパート経営でインカムを増やしている事例を読めたことは良い勉強になりました。

その物件を選ぶ、つくるときの考え方もひとつの参考にはなりました。 

しかし著者の仰る「ローリスク」にはどうも納得できない私がおりました、とさ。

本書の最後のページに著者山田氏のブログURLが書いてあったので、飛んでみました。
すると──

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(;゚Д゚) ………