今回は年金をちょっとでも多くもらうための方法のひとつとして「付加年金制度」なるものをご紹介します。
筆者はフリーランスになったのち、途中でこれを知りました。
国からはあまり大々的にアナウンスされているわけでもなさそうなので、少しでも多くのかたに知っていただければと思い、記事にしています。
ただしこの「付加年金」という制度は加入できるひとの条件が少々あるので、その点をご注意ください。
自営業(フリーランス)や主婦、無職のかたなどは一読の価値があります。
- お得な付加年金(付加保険料納付)という制度
- 付加年金制度に参加できるひとの条件
- いくら払って、いくらもらえるのか
- 40年間払えなかった場合はどうなるの?
- 付加年金制度を申し込むには
- 注意点
- フリーランスに転職するときなどに、ぜひ思い出して
お得な付加年金(付加保険料納付)という制度
付加年金制度は、私たちが日頃払っている基本的な年金保険料(老齢基礎年金のための保険料)のほかに、たった400円追納するだけで将来もらえる年金が増える制度です。
付加年金制度に参加できるひとの条件
付加年金制度に参加できるのは国民年金第1号被保険者です。
これはつまり、自営業のひと、その配偶者、または無職のひとが対象となっています。
いくら払って、いくらもらえるのか
前述のとおり、月々の納付額は400円です。
そして60歳で納付が終わり、いざ受け取りのターンとなると、
「200円×付加保険料を納付した月数」という金額が、年額で老齢基礎年金に追加されます。
最大で年に96,000円がもらえ、2年で元本を超える
年金保険料を納められる最大期間が20~60歳の40年間。
付加保険料を最大限(40年)まで納めた場合で、見てみましょう。
納める額は…
月々400円 × 40年(480か月)=総額192,000円の付加保険料を納付
支給される額は…
200円 × 40年(480か月)=1年で96,000円が支給される
「1年でたかが96,000円?安くて話にならねえや」と思いました?
いえいえ、意外とそうでもないです。
たしかに額面自体は大きくないですが、それでも私たちが月々払っておいた額は、たった400円です。
ひと月400円掛けてた掛け金が、(96,000円÷12か月で)月々8,000円になって返ってくるんです。
ひと月400円 ⇒ ひと月8,000円 です。
40年という時を経て、20倍速で回収していきます。
1年で96,000円、2年受け取れば192,000円と、もう元本に追いつくことができるんです。
人生100年時代のこれからならば、大病を患わずに健やかに過ごせた場合、基本的には70~90歳くらいは生きられるのではないかと思います。
65歳から受給開始として、10年間(75歳まで)付加年金をもらいつづけることができれば、元本192,000円は支給額960,000円(5倍)に。
20年間(85歳まで)付加年金をもらいつづけることができれば、元本192,000円は 支給額1,920,000円(10倍)になります。
これは費用対効果としては、なかなか効率の良いほうではないでしょうか。
40年間払えなかった場合はどうなるの?
そもそもあまり告知されてないので、この制度って満額支払えるひとはあんまりいないんじゃないだろうか…とひそかに思っています。
(私の場合も、32歳くらいで気づいて納付開始でしたし)
付加年金制度は、払った月数のぶんだけ、ちゃんと支給されるようになっています。
ので、たとえば満期40年の半分の20年でも、さらにその半分の10年でも、納めれば納めたぶんだけ支給されるということです。
例:20年間付加保険料を納付した場合
納める額は…
月々400円 × 20年(240か月)=総額96,000円の付加保険料を納付
支給される額は…
200円 × 20年(240か月)=1年で48,000円が支給される
こちらの場合も、2年で納めた額が返ってきます。
例:10年間付加保険料を納付した場合
納める額は…
月々400円 × 10年(120か月)=総額48,000円の付加保険料を納付
支給される額は…
200円 × 10年(120か月)=1年で24,000円が支給される
こちらもまた、2年受給することで、納めた額を取り返すことができます。
つまり納付した期間が多かろうが少なかろうが、受給から2年でちゃんと元の納付額分はちゃんと受給できる制度です。
いずれにせよ、長生きすればするほどお得ということですね。
付加年金制度を申し込むには
お住まいを管轄している市区町村の役所へ行って「付加年金制度を申し込みたいです」といえば案内をいただけます。
用紙を1枚渡されて、それに記入するだけで参加できます。
筆者の記憶では、かなり簡単な手続きだったような気がします。
※付加保険料は申し出た月から納付開始となります
注意点
注意点がふたつあります。
1.国民年金(老齢基礎年金)がもらえないと、付加年金ももらえない
付加年金とは、国民年金(老齢基礎年金)という本体部分に付属するオプションの制度です。
つまり、国民年金そのものの受給資格をなんらかの事由で喪失、またはそもそも持っていない場合などは、この付加年金も当然支給されません。
なので途中で国民年金の受給資格を失ったりしたら、元も子もありません。
自ら申請して参加するからには、本体の国民年金もろとも確実にもらい、回収していきたいものです。
2.付加年金制度に参加できないひともけっこういる
以下に当てはまるひとは、この付加年金制度に参加できません。
国民年金第2号被保険者
これはサラリーマンのことですね。企業に雇用されているひとたちです。
企業勤めのかたは、国民年金に加え、厚生年金が付与されることになっています。
国民年金だけでは少ないという環境のひとへの救済として付加年金があるようなので、厚生年金という2階建てがすでに用意されているサラリーマンには必要ないだろうということで、除外されてしまうようです。
国民年金第3号被保険者
第2号被保険者に扶養されている配偶者のことです。
つまりサラリーマンの奥さん(主婦)、OLの旦那さん(主夫)などです。
またこの「第3号」と認定されるのは年齢が20歳~60歳の間となっています。
※18歳のサラリーマンの奥さん(専業主婦)ではダメ、64歳のサラリーマンの奥さん(専業主婦)でもダメということです
さらに、年収が130万円未満ならOKですが、それを超えると「扶養されている」に該当しないため第3号被保険者には該当しません。
国民年金基金の加入員
将来の年金の増額目的である国民年金基金。
この制度をすでに利用しているひとは、同じ増額目的の付加年金制度には参加できないようになっています。
65歳以上の特例の任意加入被保険者
この特例は、年金の増額目的以前に「受給権確保を目的として、65歳以上でも年金保険を払う」というひとを対象とした制度であって、付加年金どうこうという状況ではないので対象外となります。
国民年金の各種免除(学生免除など)を受けているひと
国民年金にはいくつもの免除制度がありますが、この免除を受けている状態では、年金増額目的の付加年金制度には参加できません。
フリーランスに転職するときなどに、ぜひ思い出して
いまサラリーマンとして活躍しているひとは付加年金制度を利用できないためガッカリしてしまったかもしれません。
しかし安心してください、付加年金制度よりも厚生年金制度のほうがずっと手厚いと思います笑
ただ、これからはますます自由な働きかたが広がる時代、フリーランスの業態を取るひとも比例して増えていくでしょう。
そんな転職の機が訪れた際には、厚生年金から外れて、国民年金のみとなってしまった際には、この付加年金制度を思い出して、利用することをお薦めします。
筆者の解説でわかりづらいところ、不明な点があるかたは日本年金機構に国家公式の案内ページがありますのでこちらも併せてご参照ください。