- インスタグラム風加工の再現手法
- まとめ
インスタグラム風加工とひとことで言っても、
インスタにはめちゃくちゃ豊富なフィルターが
数多く用意されています。
ここでは、
うすぼけた、ちょっと神秘的な雰囲気の写真
という感覚で表現したいと思います。
たとえば以下のような写真たちです。
なんとなくニュアンスが伝わりますでしょうか。
今回はこういった雰囲気を再現する過程を紹介します。
細かい数値の設定は、元の写真に応じて
調節するといい具合になりそうです。
インスタグラム風加工の再現手法
ポイント
これから解説する工程。
それをシンプルにまとめると
3つのポイントから構成されます。
ドラマチック調整
黒の面積を増やしながら、
鮮やかさは適宜調整して力強い絵にする。
ノスタルジー調整
色調をほんのすこし「ブルー」寄りにする。
オールド調整
黒い部分を、少しだけ淡くトーンアップする。
必要なら四隅はやや暗くする。
この3点を意識した簡単なステップをふむことで
だいたいどんな写真も
まぁまぁそれっぽいニュアンスになるような気がします。
仕上がりサンプル①標準的な写真
それでは実際にサンプルを使って加工していきます。
こちらが元写真です。
配色も鮮やかさもコントラストも
すべてが平均的な『ふつうの写真』といったものが
対象になります。
そして加工を施した仕上がりが、以下です。
並べて比較すると、↓こんな感じ。
ちょっと独特なフィルターの雰囲気が
出ている感じがしませんか。
では、加工工程を説明します。
やることは最大で5工程です。
STEP1:ドラマチック調整
まずは写真に『黒』の部分を足してあげて、
ドラマチックな深みを持たせます。
1.イメージ 〉 色調調整 〉トーンカーブ
トーンの左下側(黒のほう)の端っこをつかんで
右へスライドします。
これで写真の暗い部分が
さらに濃く、強く強調されます。
元写真の色味次第で必要な量が変わります。
適宜調節しましょう。
また、この操作に引っ張られて
明るい階調も少し暗くなってしまいます。
むしろそれでOKな写真もありますが、
今使っているサンプルは
少し全体が暗くなってしまったので
右上側を元の位置に調整しています。
2.イメージ 〉 色調調整 〉色相・彩度
元写真によりますが、
必要に応じて彩度も調節するといい感じです。
本サンプルは、彩度を上げるパターンも
下げるパターンも
どちらも魅力的になりそうでした。
なんとなく、ちょっと上げる方向にしておきました。
ここらへんは加工者である
あなたのお好みで調整してみてください。
STEP2:ノスタルジー調整
写真の持つ色味・カラーを少しだけ
『青寄り』にかたむけて
少し哀愁ただよう、渋いイメージに近づけます。
3.イメージ 〉 色調調整 〉カラーバランス
ここで3つあるカラーレベルのうち
左の2つをマイナス補正。
右の1つをプラス補正にします。
すると、あまりその他の色に影響を与えることなく
ブルーを全体に優しくプラスできます。
ここもまたお好みで、
好きな色味に加工してみてもおもしろいでしょう。
STEP3:オールド調整
ここまで加工した写真は、
まだクッキリ・はっきりとしていて
とても新鮮な力強さに満ちています。
ここからちょっとオールドな雰囲気をプラスして
優しい見た目に変化させます。
4.イメージ 〉 色調調整 〉露光量
きっとたぶん、この加工が
全行程のなかの一番のミソです。
強調しておいた黒が優しくなります。
ここで真ん中の『オフセット』を調整します。
元写真に応じて、数値は変えてください。
0.02~0.05のあいだくらいがベストでしょう。
5.レイヤー 〉レイヤースタイル 〉光彩(内側)
写真によっては画面の端から中央まで
すべてがのっぺりとした印象になってしまうことも。
そこでこのレイヤースタイル『光彩(内側)』を使い
写真の外側を少し焼きます。
※ここで写真のレイヤーが
『背景レイヤー』になってるとスタイルが適用できません。
『レイヤー0』などに変更しておきましょう。
描画モード:焼き込み(リニア)
不透明度:お好みで(サンプルでは15%)
サイズ:お好みで(サンプルでは84px)
描画モードを焼き込みにして、
不透明度とサイズを調整すると写真の端っこが
少し焼けたように色が濃くなります。
不透明度とサイズのバランスは
プレビューで様子を見ながら調整してみてください。
これで完成です。
仕上がりサンプル②黒が多い写真
元から黒が多い写真のパターンです。
この場合、工程1のトーンカーブで
黒を強調するとむしろやりすぎになります。
真っ暗になります。
そうゆう時はあえてトーンはいじりません。
まぁ、なかなか微々たる変化ですね(笑)
全体が元々ほぼ黒な写真は、適用が難しいところです。
わたしは控えめにしてしまいましたが、
こうゆう時はもっと大胆に
オフセットを上げてみてもいいかもしれません。
全体を覆う『黒』が印象を変えますよ。
仕上がりサンプル③黒があまりない明るい写真
次は、逆に黒がほぼない元写真です。
全体的にのっぺりしていたので、
こちらは彩度を大胆に上げています。
もう少しオフセット調整で、黒を薄くしても良かったかもです。
仕上がりサンプル④黄色と赤っぽい写真
もともといい雰囲気の写真です。
インスタ風加工を試してみると。
また違った味を出せました。
解説どおり『ブルー』を強調しているのですが、
それによって他の配色(黄色や赤)が
決して消えてしまわないところがこの加工術のポイントです。
仕上がりサンプル⑤ブルーのある写真
学生のリボンとカーディガンが紺色です。
もともと青の存在する写真に対し
今回の加工術で雰囲気を変更します。
窓をたたく雨。
曇り空が似合うような、
青く切ない色味に寄ったかなという印象です。
このサンプルの場合、
トーンカーブはいじりませんでした。
理由は、黒を強調すると髪・リボン・カーディガンの
わずかに残された繊細な濃淡が
つぶれてしまったからです。
黒くつぶれてしまった写真を
オフセット加工で白く仕上げても、
なんとも味気ない写真になってしまったので、
元写真に応じて『やること・やらないこと』を
見極めるのも加工の楽しみのひとつになるかと思います。
仕上がりサンプル⑥黒強調と彩度アップを存分に
この写真は黒い部分が少なく、
男性が着ているタキシードはもともと黒で濃淡もないので
1.黒強調+4.オフセット加工で雰囲気が出せることは確定してたので、
2.彩度アップもまあまあ大胆に調整させてもらいました。
また、あえて3.ブルー寄せは省きました。
ふたりを包む緑たちを充分に鮮やかにしつつ、
ちょっぴりオールドをプラスした感じです。
ブルー寄せを省いており、白いウェディングドレスは
まったくの純白なままですね。
次と比較するとおもしろいです。
仕上がりサンプル⑦黒強調とブルー寄せを存分に
同じウェディングでも、
こちらにはまったく『黒』がいませんね。
いっこ前のサンプルと比較させるために
こちらを引っ張ってきました。
黒強調とブルー寄せを大胆に調整かけてみます。
白いテーブルクロスや白いウェディングドレスに
クールなブルー味が付加され、
元写真とはまた違った雰囲気が出ました。
まとめ
ポイントは3つ。やる工程は最大5つです。
ポイント3つ
- ドラマチック調整
- ノスタルジー調整
- オールド調整
工程5つ
- トーンカーブで黒強調
- 彩度で彩度アップ
- カラーバランスでブルー寄せ
- 露光量のオフセットで黒を優しく
- レイヤースタイルの光彩(内側)で周りを焼く
いくつか作例を載せたように、
元写真によってやるべきこと、やらないこと、
そしてやるべき加工のボリュームが異なりました。
5つの工程をお好みで調整しつつ、
あなたのイメージした雰囲気へ持っていけると
楽しいかと思います。
ぜひご活用ください。